「メラン・コリー」1巻(西瓜割)
- 作者: 西瓜割
- 出版社/メーカー: 芳文社
- 発売日: 2012/08/27
- メディア: コミック
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4コマを大雑把に分類すると、昔ながらの「ギャグを優先した4コマ」と、いわゆるストーリー4コマや萌え4コマと呼ばれる「ストーリー性やキャラの可愛さを優先した4コマ」の2種類に分けられる。当作品は前者の要素が強く、終始ハイテンションなボケとツッコミが繰り広げられるものの、残念ながらそれらのギャグは全体的にスベッている。そもそも、「スイカから関西弁を喋る人間が生えてくる」という設定の時点でかなりスベッている。
ギャグがスベッているギャグ4コマなんて…と思いきや、これが意外にも面白い。主人公であるスイカ少女のメラン・コリー(メラちゃん)は、面倒くさがり、構ってちゃん、器が小さい、自信過剰と、お世辞にも性格が良いとは言えない。見た目こそ美少女だが、それ以上に頭のスイカが目立ちすぎるせいで、学校のクラスメイトや道行く人にも「何アレ(笑)」「スイカ(笑)」と失笑を受けている。
そうしたメラちゃんの空回りっぷりと、ギャグのスベリっぷりが奇跡的にシンクロしており、読んでいるこちらも(良い意味で)失笑してしまう。一部のお笑い芸人が得意にしている「スベリ芸」に倣って、当作品は「スベリ4コマ」と呼ぶのが正しいのかも知れない。
もちろんこの手の芸風(?)は、一歩間違えば「単にスベッているだけ」になってしまう諸刃の剣。「もっと自由に、4コマを。」をキャッチフレーズにしているまんがタイムきららミラクでなければ、単行本はおろか連載すら難しかったのではと思う。この先、勢いを失って本当に「単にスベッているだけ」になってしまったとしても、「笑える」「萌える」「ストーリーに惹き込まれる」以外の4コマの楽しみ方を教えてくれた当作品を、私は忘れないだろう。