「箱入りドロップス」2巻(津留崎優)
- 作者: 津留崎優
- 出版社/メーカー: 芳文社
- 発売日: 2013/04/26
- メディア: コミック
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相ノ木の魅力は、「さり気ない優しさ」と「憎めなさ」にある。まず、「さり気ない優しさ」。1巻の縁日回で雫のために射撃でぬいぐるみをゲットしようとしたのを皮切りに、誕生日パーティ回で雫が持っていた買い物袋を代わりに持つ、初詣回で萌に自分の手袋を貸す等、2巻でもそれを遺憾なく発揮している。女子にモテたいと普段から口で言っている割に、そうした優しさには下心を一切感じさせない。まあ、萌に関しては多少なりともあるのかも知れないが(2巻のカバー裏を見る限り)、明らかに恋愛対象から外れている雫に対しても同じくらい優しいので、それが相ノ木という人間本来の性格なのだろう。
そして、「憎めなさ」。前述の通り、事あるごとに女子にモテたいと騒いでいる相ノ木だが、実際のところは女子にモテたい以上に、女子という生き物に対する憧れの方が強いのではないかと思われる。雫たちがキャッキャウフフと楽しんでいるのを見ては、俺たちも女子みたいに○○しようぜと、自分に負けず劣らず不良顔の陽一と実践しようとするのが気持ち悪くも微笑ましい。陽一の側から見ても、一切の気遣いや遠慮をすることなく接することができる男友達という点で、雫とは違ったベクトルで相ノ木は貴重な存在である。というか、きららで男子キャラクター同士の友情がしっかりと描かれている作品が貴重だと思う。
不良っぽい外見で、ふざけた言動をしていることも多いが、話してみると意外にいい奴。どの学校にも1人くらいいそうだし、むしろいてほしい。ある意味で相ノ木は、きららの作品の中で最も「リアルな」男子なのかも知れない。