竹書房落ちた、日本○ね!
こんにちは。「まっしろライター」のましろです。
まあ、ほぼタイトルの通りなのですが…。
先日、竹書房の中途採用に応募しました。
で、1次面接で落ちました。
「フリーライターになるって言ってたくせに、なにやってんの?」と言われたらその通りなのですが、9月末に退職する直前、このツイートを見てしまったんですよね。
竹書房が新入社員を大募集!! 編集及び営業として経験者も未経験者も竹書房のあの作品やあの作品とかかわれるチャンス!! 締め切りは10月5日(木)17時!応募は以下のURLから!皆さんの熱いエントリーお待ちしてます!! https://t.co/UcqaQKze5z
— 竹書房4コマ編集部 (@TakeShobo4koma) 2017年9月15日
「4コマを読むのが好きだから4コマの編集者になりたいなんて、考えが浅すぎる」
「4コマの編集者になりたいなら、4コマ以外のマンガや、マンガ以外の本、出版業界全体の知識も必要」
学生時代、私もこう考えていて、新卒の就職活動では出版業界の選考をまったく受けませんでした。
そもそも、今ほど4コマを読むようになったのは就職してからという理由もありますが。
ただ、4コマを読むのが好きな方、考えてみてください。
もし今、自分が無職で、そのときタイミング良く竹書房や芳文社が社員を募集していて、別に落ちても失うものは何もなくて、あわよくば4コマの制作に携われるチャンスがあるなら。
応募するでしょ?
…いや、それでも応募しないのが普通なのかもしれませんが。
タイトルとアイキャッチ画像はネタに走ったものの、もちろん竹書房さんに対する恨みなどは一切ありません。
むしろ竹書房は、4コマを扱っている出版社の中でも一番信頼できる会社だと思っているので、これからも応援していきたいです。
前置きが長くなりましたが、この記事では「竹書房の選考過程」、および私自身の今後について記載します。
もし検索エンジン経由で訪問されて、「お前の独り言なんてどうでもいいから竹書房の選考過程だけを知りたい」という方は、「選考の流れ」の見出しの部分だけお読みください。
選考の流れ
応募
竹書房の採用への応募は、上記ツイートにリンクが貼られている採用ページから行います(今はもう募集が終了しているので、竹書房のトップページに飛びます)。
竹書房では新卒に限定した採用は行っていませんが、経験・未経験に問わず門戸を開かれているとのことなので、新卒・第二新卒の方でも応募自体は可能です。
採用ページには入力フォームがあり、履歴書・職務経歴書のファイルを添付します。
履歴書・職務経歴書のフォーマットは、一般的な内容(氏名、住所、学歴・職歴、志望動機など)が書けるものであれば何でも良いと思います。
マイナビのサイトや、竹書房の採用ページからもダウンロードできます。
また、応募したい部署(4コマ・ショートコミックを担当する部署、『メイドインアビス』などのストーリーマンガを担当する部署、営業部など)も入力フォームから選択します。
複数の部署を選択することができましたが、私は、どうせやるなら4コマ一本でと考えていたので、4コマ・ショートコミックを担当している「第二編集部」だけを選択しました。
10/2(月)に応募し、翌日10/3(火)のお昼には適性試験の案内メールが送られてきました。
締め切りは10/5(木)だったので、応募が来た順に内容をチェックしていたのだと思います。
適性試験
適性試験の日程をメールでやり取りして、10/13(金)に決まりました。
場所は竹書房本社ではなく、飯田橋駅の近くにある貸し会議室です。
会場には、私と同年代か年下と思われる方や、年配の方まで、男女半々くらいで20人ほどの方がいました。
試験の日時は、4つの候補から第1希望・第2希望を選んで連絡する形式だったので、単純計算で80~100人くらいは応募があったということでしょうか。
今回の採用予定人数は6人前後。これを倍率が高いと見るか低いと見るかは、人それぞれだと思います。
試験時間は90分で、以下のような問題が出題されました。
- 漢字の読み・書き取り
出版社だからといって特に難しい語句が出題されたわけではなく、一般常識レベルの内容だったと思います。
ただ、読みはともかく、漢字がほとんど書けなかった。たぶん6割くらい。
一応、大学時代に漢検2級を取っているのですが、就職してから文字を書く機会がめっきり少なくなったからでしょうね…。
- 校正
1000字程度の小説の文章を、実際の編集者さながらに校正していく問題。
書き方の例も記載されているので、校正記号の意味を知らなくても大丈夫です。
指摘する内容も誤字や脱字くらいで、事実関係の誤り(○月○日の夜は満月じゃないなど)を修正するものはなかったと思います(自分が見落としていなければ)。
- キャッチコピー
3種類のマンガのイラストがあり、それぞれにキャッチコピーをつける問題です。
これに関しては正解はなく、自分のセンスを信じて書くしかないでしょうね。
単行本の帯のコメントや、雑誌掲載時の煽り文を考えるのは編集者であることが多いらしいので、日ごろから意識的に読んでおくと良いかもしれません。
ちなみに、出題されたイラストは、『ラーメン大好き小泉さん』、「本当にあった愉快な話」風のエッセイマンガ、アクション系のマンガ(タイトルは不明)でした。
『ラーメン大好き小泉さん』は単行本を買って読んでいるので、割と良いものをつけられた…気がする。
- 自由記述
前職でのスキルを竹書房でどう活かせるか。新卒の方であれば、出版社で必要なスキルは何だと思うかなどを書きます。
履歴書にも似たようなことを書いているはずなので、少し言葉を変えて書けばいいと思います。
◇
試験全体を通して、時間が足りなくなるということはおそらくないと思います。
私の場合、60分でキャッチコピー以外の問題を先に解いて、残り30分をキャッチコピーを考えるのに費やしました。
なんとなく、この回答内容が一番チェックされるんだろうなと感じたので。
所用で飯田橋まで行ってきたので、聖地巡礼をしてきました。 #芳文社 #竹書房 #文芳社 #指定暴力団 #破壊したはずでは pic.twitter.com/aRt92PqXzZ
— ましろ@ライター (@mashirog) 2017年10月13日
せっかくなので、帰り際に聖地巡礼(?)もしてきました。
1次面接
適性試験から1週間後、無事に選考通過の電話がかかってきました。
もしこの段階で不採用と判断された場合は、電話でなくメールで連絡が来るようです。
1次面接の日は少し期間が空いて、11/1(水)でした。
↓縁があったので、東京大神宮に参拝してきました。恋愛成就のご利益があると言われているだけあって、女性が多かった気がします。https://t.co/EB9dJy069k pic.twitter.com/q5ZT21MnbD
— ましろ@ライター (@mashirog) 2017年11月1日
面接の前に、竹書房本社の近くに鎮座する「東京大神宮」に参拝。
選考通過の祈願というよりは、神社めぐりが好きなので純粋に参拝したかったのと、御朱印が欲しかっただけです。
参拝したあと、いよいよ竹書房本社に。
受付と待合室はビルの2階にあって、待合室には竹書房から刊行されている雑誌や単行本が並べられていました。
テーブルに置いてあるティッシュ箱に、『ぼのぼの』や『リコーダーとランドセル』などのイラストが描かれていたのも印象的でした。さすがに写真を撮るのは控えましたが…。
受付を済ませて数分後、準備ができたとのことなのでエレベーターで会議室に向かいます。
もちろん、面接で聞かれるであろう質問と、それらに対する回答はかなり考えてきていたのですが、このとき受付の方に言われた言葉ですべて吹っ飛びました。
受付の方「エッセイコミック部の面接になります」
自分「えっ、エッセイコミック部ですか?」
前述の通り、私が応募したのは、4コマやショートコミックを担当している「第二編集部」です。
一方「エッセイコミック部」は、「本当にあった愉快な話」など実話系の雑誌を担当している部署で、4コマ形式の作品もあるものの方向性はかなり異なります。
「間違っていないですか?」と確認をしても合っているとのことだったので、第二編集部はすでに採用が決まってしまったか、適性試験の結果エッセイコミック部に適性がある(あるいは第二編集部に適性がない)と判断されたかのどちらかなのでしょう。
後述するように、この時点で「面接に通らなくても別にいいか…」と思ってしまったのですが、面接自体はちゃんと受けてきました。
面接官は、スーツを着ていた方が1名(男性)と、ラフな格好の方が3名(男性1名、女性2名)の、計4名。
おそらく、スーツを着ていたのは人事部の方で、他の3名は編集部で働いている方だったのではないか思います。
面接では、以下のようなことを質問されました。
志望動機
最近読んだエッセイマンガは?
最近気になった芸能ニュースは?
自分が編集者だったら、どんなエッセイマンガを作りたい?
仕事で一番失敗したエピソードは?
プライベートで一番失敗したエピソードは?
フリーライターって何してるの?
逆質問
やはりというか、もし採用されたら「エッセイマンガの編集者」として働くことを前提にした質問が多かった印象です。
「最近読んだエッセイマンガは?」の質問には、嘘をついてもしかたないので正直に『師走さんちの墨たんは猫である。』(ぶんか社刊)と答えました。
「フリーライターって何してるの?」は、今はフリーライターをしていると履歴書に書いていたので訊かれたのだと思います。
◇
結局、面接から1週間後、いわゆる「お祈りメール」が届きました。
不採用になった理由は、もちろん分かりません。
エッセイコミック部の面接なのに志望動機で「4コマ」と言いすぎてしまったからかもしれないし、そういうのに関係なく「出版業界未経験の30歳フリーライター(実質無職)」というイメージを覆すだけのアピールができなかっただけかもしれない。
2次面接
すでに書いた通り、私は1次面接で落ちてしまったので、この部分は適性試験の際に担当者の方から聞いた話です。
1次面接の次は2次面接で、これに通過すれば採用が決まります。
実際には、2次面接のあとに最終面談もありますが、労働条件の確認や社長との面談をするだけであるため、最終面談で落とされることは基本的にないようです。
こんなことをしない限りはね(しつこい)。
選考を終えて
エッセイコミック部に配属されるなら、落ちてもいいと思った
誤解を恐れずに言うと、私は「本当にあった愉快な話」などのエッセイコミック誌があまり好きじゃありません。
中には『流されて八丈島』のようなポジティブな作品もありますが、全体的に他人の不幸話、芸能界の噂話など、下衆な内容が多いからです。
そういうマンガを描いている方たちを否定はしないものの(元ネタは読者からの投稿だったりするし)、自分が編集者として、そういったマンガを作る手伝いをする気にはなれないのです。
ただ、もし竹書房に採用されて、最初は希望していた4コマの部署に配属されたとしても、数年後にはエッセイコミック部への異動を命じられるかもしれない。
そのとき、異動を断ることができるか?
というより、「断る」という選択肢を考える時点で、私は出版社に入ってはいけないタイプの人間なんだろうなと思いました。
会社員として仕事する以上、自分が好きな作品だけを担当できるわけではありませんからね。
けれど、竹書房はいい会社だと思っている
エッセイコミック部の面接に回された経緯については疑問が残りますが(もっと突っ込んで聞くべきだったのかもしれませんが)、今となってはもう気にしていません。
私なんかを採用するかどうかなんてどうでもよくて、面白い4コママンガを世の中に出し続けてくれたらそれで充分です。
そうした意味で竹書房は、4コマを扱っている出版社の中で一番4コマを愛しているし、4コマを描いている作家さんたちを大切にしていると勝手に思っています。
中途半端な時期に連載作品を打ち切ることは少ないし、仮に打ち切りになったとしても単行本をちゃんと出してくれる。
最近だと、『迷走乙女日記』や『ねがいましては』は単行本1冊以上2冊未満の連載ストックしかありませんが、普通よりページ数が多い1冊ぶんの単行本として出版されています。
他の出版社の4コマであれば、通常ボリュームの単行本を1冊だけ出して残りは未収録か、そもそも単行本が出ません。
もちろん、竹書房でも単行本が出ないときは出ませんが、できるだけ作者にも読者にも配慮した形で作品を終わらせようとする心意気は感じます。
4コマを扱っている会社ならどこでもよかったわけではなく、竹書房だからこそ選考に応募したのです。
…と言いつつ、ブログやTwitterでは芳文社(きらら)の4コマを取り上げることが多いので、これからは竹書房の4コマも積極的にレビューしていきたいと思います。
ようやく、ライターになる決心がついた
「10月からフリーライターになりました」と言っていたものの、この2ヶ月間、ほとんどライターの仕事をしていませんでした。
正確には、副業ライター時代から続けている仕事だけをしていて、新しいライティング案件は増やそうとしなかった。
今ライターの仕事を増やしても、竹書房に入社することになったら結局やめないといけないので。
こういうのを「取らぬ狸の皮算用」と言うんですね、わかります(何)。
他の出版社や、編集プロダクションなどへの応募は今のところ考えていないので、これからは本格的にライターとして始動していきたいと思っています。
まず、今月中に以下のことはやっておきたいですね。
ライター用の名刺を作る
家族や知人に、ライターになったことを報告する
ライターの仕事を増やす(ランサーズ以外でも探す)
ブログの運営方針をちゃんと考える(2つあるブログを統合する、アドセンス申請するなど)
ノートPCを買い換える(今使っているのは、文字が打ちにくい)
確定申告の準備をする(やり方すらちゃんと分かっていない)
◇
ある意味、今までで一番体を張った記事でした。
淡々と書いているように見えるかもしれませんが、不採用の連絡が来たときはかなり凹みました。
30歳にもなってからお祈りメールをもらうなんて、在職中は考えてもいなかったので…。
ただ、選考に向けて編集業務についてあらためて勉強したことは、ライターの仕事をする上でも必ずプラスになると思います。
文章を書くだけがライターではありませんからね。